校歌とダンスを活用したキャリア教育
子供たちの「社会的・職業的自立」や「基礎的・汎用的能力」「社会人基礎力」を育む内容を取り入れた、ダンスを活用したキャリア教育プログラム「ダンス アドベンチャー」は、地元の歴史や風土が刻まれた「校歌」を深く学ぶ機会を持ち、子供たちが積極的に意見し合うグループワークを通じて、地域の理解を深め、母校や地元への想いをダンスの発表会で表現するキャリア教育プログラムです。
実施対象学年 |
小学校3~6年生、中学校1~3年生、高校1年生
※学童保育(放課後保育)での実施の場合、高学年が低学年(1~3年生)に指導する構成もあります。 |
プログラムに要する
授業時間数 |
10~12時間(短い時間での実施も可能です) |
教員向けダンスアドベンチャー研修会
各学校独自で、ダンスアドベンチャーを実施いただけるように、
NSSAではダンスアドベンチャーの研修会を行っております。
詳しくはこちら
ダンスアドベンチャーの授業構成
①事前授業(なぜキャリア教育を実施する必要があるのかについて説明)
②ダンスアドベンチャーの実施についてのオリエンテーション
③ダンスの動きの基礎を体験(体育・ダンス)
④音楽の力と校歌の意味を知る(音楽)
⑤校歌の歌詞に刻まれた地元の歴史や産業、文化を知る(社会)
⑥校歌の歌詞を表現する振り付けを作る(体育・ダンス)
⑦校歌で踊るダンス発表会
⑧全行程を振り返るための新聞作り(国語)
プログラム実施の背景
学校が抱える問題をダンスの持つ力で解決したい
2012年度より中学校の体育授業でダンスが必修化されました。小学校では以前からダンスが必修化されていたものの、小学校、中学校共に多くの先生がダンス授業の実施方法に苦慮している現状を受け、NSSAでは学校でのダンス授業実施のサポート活動を開始しました。2013年度、2014年度には、日本全国で年間500校にてダンス授業を実施しました。「子供達が昼休みに音楽がかかると一斉に踊り始めた」「こどもたちにまとまりが出てきた」など、学校の先生からのお礼のお手紙や、児童生徒からの喜びの感想文が毎日のように届くようになりました。ダンスには、子供達同士の距離を縮め、クラスを一つにまとめる力があることを改めて知りました。
ダンスだからこそ出来ることがある
NSSAのダンス授業は、子供達のコミュニケーション力、表現力、想像力を育むことを主なねらいとしています。学校でのダンス授業の際に、多くの先生から「子供達のコミュニケーション力、表現力が低下している」「クラスにまとまりがない」といった声を聞きます。また、キャリア教育について多くの学校が実施の仕方が分からないといった状況にあるとの話も伺いました。
そこでNSSAでは、ダンスを活用してコミュニケーション力や表現力だけでなく、将来の子供達の「社会的・職業的自立」や「基礎的・汎用的能力」「社会人基礎力」を育む内容を組み入れた「ダンスを活用したキャリア教育プログラム」を開発し、2014年6月より開始しました。
実施のたびに改良を加え、キャリア教育の要素を踏まえ、かつ、「ダンスの力」を最大限に活用できるプログラムを目指した結果、「校歌を活用したキャリア教育プログラム」が学校が抱える問題を解決するための一翼を担えるのではないかと考え、2015年4月より「ダンスアドベンチャー」をスタートさせました。
ダンスアドベンチャーの特徴
なぜ校歌で踊るのか?
ダンスアドベンチャーではダンスを踊る際に、その学校の校歌を楽曲として使用します。「校歌でダンスをする」ということは、非常に評価も高い一方で、「なぜ」という疑問も持たれます。現在、学校教育の中で校歌に興味をもって見る機会は少なくなっています。校歌の歌詞の意味をダンスで表現するために、子供たちは校歌を見返し、その意味を考えることになります。
校歌には地元のことが歌われていることが多く(歴史、産業、地名等)、校歌を理解しダンスで表現する振り付けを考える過程で自分たちの住む街を知ることができます。校歌に秘められた地元の歴史などを説明する際、地元のことに詳しい有識者(元校長先生、図書館の館長、自治会長等)の方にもご協力いただき、地元の歴史、産業、文化などについて説明していただいています。校歌への理解が深まることで、子供達が地元と学校に対して改めて愛着を深めるきっかけになります。
ダンスアドベンチャー授業の流れ
子供達のやる気を高めるストーリー
ダンスアドベンチャーはダンスを活用し、チームの仲間と一緒に与えられた課題(ミッション)を解決してゆくプログラムです。真っ暗な体育館に集められた子供達は、未来からの使者「メモリー」から、あるメッセージとミッションを受け取ります。子供達は、このミッションをクリアし未来の子供達を救う、という設定のもとダンスアドベンチャーはスタートします。
1. オープニング映像 〜未来からのメッセージ〜
未来の学校では人と会話する事もコミュニケーションをとる事もなくなり校歌も消滅している。
みんなのチカラで未来の子供たちの為に校歌を取り戻せ!
体育館が映画館の様な薄暗い状態の中、映像が流れると、いつもとは違う授業の始まり方に、子供達の顔から、緊張感と期待感が伺えます。
2. 体育(ダンス)
リズムに合わせて、基本的なダンスの動きを習得
授業開始直後は、恥ずかしがって動きが小さくなったり、へっぴり腰な子供達が、授業の後半にはリズムに乗って生き生きとした表情になり、大きな動きで積極的に踊ります。
3. 音楽
校歌の歌詞を学んだ後、音楽の持つ力を、様々な音を聞いて体感した後、各チームごとに話し合い、自分達の刻みたいリズムを決め、仲間とテンポを合わせ、手を叩くリズムチャレンジに挑戦
音楽は音学とは書かない、音を楽しむ。正解は一つではないから、失敗を恐れずに自分の意見を述べる事が大事!でも人の意見を尊重することも大事!
授業開始時はバラバラな手拍子が、各チームの話し合いの後、一つのリズムにまとまっていきます。
4. 地元学習
校歌の歌詞から、地元に関する疑問をまとめ、地元に詳しい方に質問をする
各チームごとに質問したい内容を決めるために、子供達は互いに意見を出しあいます。
5. 振付作り
校歌の歌詞や地元の事を表現する振付を子供達自らが考え、話し合い、振付内容を決める
意見がぶつかり合い、時にはケンカをする姿も見受けられますが、仲間の意見を尊重することや、意見を調整することの難しさを学びます。
6. 発表会
これまで子供達が取り組んできた様子を、スライド映像で観覧者(保護者、地域の方々、他学年)に紹介、各チームはダンスを披露する前に自分たちのダンスの見所や意気込みを観覧者にプレゼンテーションします。いよいよ、アレンジされた校歌に乗せて、ダンスを披露する発表会
楽しそうに生き生きと踊る子供達、自信無さげに踊る子供達、皆一様に踊りきった後の表情は、達成感に満ち、仲間同士喜び合う姿は感無量です。
7. 振り返り
これまで学んだことを、子供達一人一人が新聞やワークシート等にまとめる
協力することの難しさ、意見をまとめることの難しさ等、子供達が苦労したこと、楽しかったこと、学んだことを文章で表現し、ダンスアドベンチャーを完結させます。
プログラムの実施に協力を頂いている企業・団体の皆様(サポートマスター)
ご支援を頂けるスポンサー企業を募集しております
NSSAではダンスアドベンチャーを通して、より多くの子供達に対して、将来の職業人としての資質や能力、学習意欲の向上に寄与したいと考え、全国の学校で実施出来るよう計画中です。実施内容の更なる充実はもちろんのこと、全国の学校で実施出来るよう、全国一円にスポンサードいただける企業・団体、各地域ごとにスポンサードいただける企業・団体を随時募集しております。
プログラムを導入いただいた先生の声
堺市立深井西小学校 2015年6月22日〜7月9日
担任の先生からのコメント
ダンスを活用することから、「コミュニケーション力」「表現力」そして、振付を考える際等で話し合いをする場面も多く設定されており、「話し合うことの大切さや難しさ」や「伝えること、相手の話を聞くことの大切さ」を学んだようです。
子供たちが好きなダンスを活用したり、映像を上手く用いることで子どもたち自身が積極的にプログラムに参加するようにうまく考えられたものだと思います。校歌の歌詞から地元を学ぶという点も非常に面白いと思いました。
ダンスアドベンチャー実施後、子供たち自身のつながりやクラスの一体感が高まったように感じます。また、ダンス発表会では、日頃はおとなしく自分を表現しにくい子も笑顔で楽しそうに発表しており、終わりには充実感に満ち溢れた様子でした。ダンスの他にも音楽や地元学習で、日頃はあまり出会うことのないプロの方々から指導を受けることができ、子供たちにとっては大きな刺激となりました。
プログラムの進行に関しては、NSSAのスタッフの全面的なサポートもあり、子供たちが使うワークシートや教員用の指導マニュアル、当日の進行台本など、プログラム進行に必要な教材も整っておりましたので、安心して授業を進めることが出来ました。
校長先生からのコメント
最初のダンス授業では、子供たちは恥ずかしさもあり、動きも小さく、発表会なんて出来るのだろうかと心配していました。ところが、プロの先生(ダンスマスター)の指導により、大変見ごたえのあるダンス発表会になりました。見学にこられた保護者の方々も楽しんでおられたようです。
普段は積極的ではない子や、おとなしい子も、発表会では笑顔で大きく踊っていたので大変感動しました。
担任の先生と子供たちが「ダンスアドベンチャー」という、いつもと違う雰囲気の中で、コミュニケーションを取ることにより、お互いの信頼関係が深まったのではないかと感じています。また、本プログラムを実施するにあたり、いつも以上に担任の先生同士のコミュニケーションがあり、そういった面でも非常に得るものが多いプログラムだったと考えております。
実施校 2016年度
実施校 2015年度
実施校 2014年度
キャリア教育について