佐藤 菜穂子(さとう なほこ)
名古屋学院大学リハビリテーション学部准教授、博士(教育学)、理学療法士
自身もヒップホップ歴18年のダンサーであり、ヒップホップダンスの動作分析を専門とする。ヒップホップダンスの練習のコツに関する研究や、健康への効果に関する研究を行う。小中学校でのダンス授業の指導に関するアドバイスや、高齢者の体力向上プログラムの作成など、ヒップホップダンスの特性を生かした取り組みを進めている。
公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会では、名古屋学院大学リハビリテーション学部の佐藤菜穂子准教授と「運動神経が良くなるダンス」の共同開発を行っています。
児童生徒の運動不足が問題視されて久しいですが、子ども達の体力は目標値とされる昭和60年頃のピーク時に比べ、依然として低い上体にあります。また運動する子どもとしない子どもの二極化が進むなか、スマホなどの長時間の視聴により、運動をしない子どもは更に運動との接点がなくなり、運動不足気味の子ども、体力が低下傾向の子どもが増加傾向※にあり、社会的な問題になりつつあります。
[男子] 体力合計点の経年変化
※スポーツ庁が実施した「令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」において、小学生男子は平成20年の調査実施以降過去最低の体力となりました。
そこで、児童生徒に人気のある「リズムダンス」を活用し、運動神経が向上する要素が詰まったダンスの練習に前向きに取り組むことにより、「少し踊れるようになった!」「かっこよく動けるようになった!」といった小さな成功体験をきっかけに、「運動が楽しい」「体育が楽しい」と感じることが出来れば、運動を積極的に行うようになる児童を少しずつでも増やせるのではないかと思っています。
このダンス授業を受講することで、児童生徒の運動への行動変容を起こす「きっかけ」にしてゆけたらと考えています。
運動神経を良くするためには、リズム感・バランス感覚・敏捷性などの『神経系』の発達を促すことが大切です。ダンスでは特に「リズム感の向上」に対して働きかけることができます。
ダンスでは、リズムに合わせて動ける能力、リズムをコントロールできる能力を養うことができると考えられます。多くのスポーツにおいて上達するカギを握るのがリズム感です。例えば、サッカーでは、一定のリズムでドリブルをする能力も重要ですし、ディフェンスをかわす際には、相手のリズムの裏をかいてリズムをコントロールしながらドリブルをすることが求められます。これまで、このリズム感を向上させるトレーニングとして、リズムに合わせて単純な動作の繰り返しや、競技の実践の中で学ぶなどの方法が取られてきました。しかし、小学生にとって単純な動作の繰り返しはおもしろくありませんし、言葉で説明されるのではなく、何かを模倣して動くことの方が分かりやすいと考えられます。
「運動神経が良くなるダンス(リズム感アップ編)」では、リズム感が向上するためのトレーニング要素を含んだプログラムを作成しました。ダンスの運動強度は7.8メッツ※程度と言われており、サッカー(7.0メッツ)など屋外で行うスポーツよりも高いため、外出せずに体力を維持・向上させるための運動として適切であると考えられます。またダンスは音楽に合わせて仲間と同じ動きをすることで、楽しみが生まれます。
子どもの発育の側面から考えても、ダンスには大きなメリットがあります。子どもの成長には、年代によって成長する部分に差があることが分かっています(スキャモンの発育曲線)。生まれてから小中学生にかけては、リズム感・バランス感覚・敏捷性などの「神経系」が発達していきますので、単純な動作の繰り返しではなく、多様な動きを多く実践することが「神経系」の発達には重要であるとされています。ダンスは、多様な動きを振り付けから実践することができ、また同時にリズム感も養うことができるため、「神経系」の発達のための運動として、非常に有用であると考えられます。この点からも、「運動神経が良くなるダンス(リズム感アップ編)」は、小中学生のうちに積極的に取り組む必要があると考えられます。
「運動神経が良くなるダンス(リズム感アップ編)」は、ダイドードリンコ株式会社のサポートのもと実施をしている「踊育(だんいく)東北ダンスプロジェクト」でのダンス出張授業で実施しているプログラムです。
「運動神経が良くなるダンス(親子でリズム感アップ編)」は、ダイドードリンコ株式会社のサポートのもと実施している「踊育(だんいく)親子ヒップホップ教室@ふくしま」での無料の親子ダンス教室で実施しているプログラムです。
NHK名古屋放送局
2020年5月20日掲載
東奥日報
週刊JuniJni(東奥小中学生新聞)
2020年6月9日掲載
デーリー東北
2020年6月20日掲載
長崎新聞
2020年6月20日掲載
福井新聞
2020年6月21日掲載
岐阜新聞
2020年6月23日掲載
山陰中央新報
週刊さんいん学問
2020年6月24日掲載
佐藤 菜穂子(さとう なほこ)
名古屋学院大学リハビリテーション学部准教授、博士(教育学)、理学療法士
自身もヒップホップ歴18年のダンサーであり、ヒップホップダンスの動作分析を専門とする。ヒップホップダンスの練習のコツに関する研究や、健康への効果に関する研究を行う。小中学校でのダンス授業の指導に関するアドバイスや、高齢者の体力向上プログラムの作成など、ヒップホップダンスの特性を生かした取り組みを進めている。